学校のトイレに棲む少女の霊
花子さん
三番目の扉を、三度叩く。「はーい」——その返事に応えた者だけが、二度と明るいほうへは戻れない。
Overview
学校の女子トイレに現れるとされる少女の霊。赤い吊りスカートにおかっぱ頭の姿で語られ、戦後日本の「学校の怪談」を代表する怪異である。名を呼べば応え、応じた者を暗がりへ引き込むともいう。
Encounter
多くは校舎三階、手前から三番目の女子トイレの扉を三度叩き「花子さん、いますか」と呼びかけると、内から「はーい」と細い声が返るという。応じた個室に入った者へ、青白い手やヘドロめいた手が伸びて引き込むとも語られ、呼び出しの作法は地域や学校ごとに少しずつ異なる。
Lore
厠に神を祀る古い信仰や、便所から手が伸びて人を引くという怪異譚に連なる話とされる。もとをたどれば河童や狸の仕業として語られた厠の怪が下敷きにあり、それが学校という新しい場へ移し替えられ、子どもたちの語りとして結び直されたものとみられる。
Traits
呼びかけにだけ応じて姿を見せ、みだりに校舎を歩き回ることはない。扉越しの気配や返事で人を試し、応じた者を捕らえるという。地域によっては手前の個室に父や母、奥に妹や弟が控え、呼ぶと「うちの花子に何の用か」と問い返す一家として語られることもある。