梢から白い袋を下ろす化け狸
袋下げ
ふくろさげ
「その袋、掴んでごらん」——手を伸ばせばするり上へ。梢の奥で、狸が笑っている。
Overview
長野県北安曇郡大町(現・大町市)に伝わる化け狸の怪異。林の中の道を通ると、高い木の上から白い袋がすうっと下りてくる。狸が木に登り、人を驚かせて化かすための悪戯とされ、害を加えるより通行人を戸惑わせることを常とした。
Encounter
夕暮れから夜にかけて、山あいの林道を一人で歩くときに現れる。ふと頭上の気配に見上げると、暗い枝の間から白い袋がゆらりと垂れ下がってくる。手が届きそうな高さまで下りては、するりと梢へ戻っていく。
Lore
『綜合日本民俗語彙』第3巻(1955年、柳田國男監修)は、大町の袋下げを狸の仕業とする土地の言い伝えとして記す。木の上から袋を下ろして通行人を化かす、化け狸譚の一つに数えられる。
Traits
身軽に高い木へ登り、袋を釣り糸のように下ろして通行人をからかう。人が近づけば引き上げ、離れれば垂らすといった具合に翻弄するが、噛みついたり襲ったりはしない。あくまで人を驚かせ、道に迷わせて楽しむ悪戯者の狸である。