富を授ける山中の無人屋敷
迷い家
まよいが / マヨヒガ / マヨイガ / 隠れ里
誰もいない座敷で、鉄瓶だけが湯を鳴らしている。椀を一つ持ち帰れば長者に。だが欲しがった者の前に、門は二度と開かない。
Overview
山中に忽然と現れる無人の立派な屋敷、またそれを訪れた者をめぐる怪異。東北・関東に伝わり、その器物を持ち帰ると富を得て長者になるとされる。柳田國男が『遠野物語』で紹介し広く知られた。遠野では「マヨヒガ」と呼ぶ。
Encounter
山で蕗を採る、道に迷うなど、深い山に分け入った者の前に不意に現れる。黒い門をくぐると紅白の花が咲き乱れ、牛馬がおり、朱と黒の膳椀が並び鉄瓶の湯が沸くのに、人影は一つもない。
Lore
『遠野物語』六三は、三浦家の妻が迷い家に入りながら何も持ち帰らず、後日に川上から流れ来た赤い椀を無欲ゆえ授かった話を伝える。その椀で穀物を量ると尽きず、家は長者になった。六四では若者が恐れて何も持てず、再訪も叶わず富を得なかったとされる。
Traits
訪れた者を害さず、椀や膳などを持ち帰った者に尽きせぬ富をもたらす。ただし恵みを受けられるのは無欲な者に限られ、欲や恐れから手ぶらで去れば二度と門に辿り着けず、幸運も逃すという。