盆の海に現れる幻の帆船
迷い船
盆の月あかりに、もう一艘。灯りに誘われ舳先を向けた者だけが、二度と港へは帰らない。
Overview
福岡県遠賀郡や宗像鐘崎の海に伝わる船幽霊の一種。盆の時期の月夜、沖に帆掛け船の姿となって現れる。怪火が灯り人の声が聞こえることもあり、これを目がけて進んだ船は悪い風に巻かれて難破するといわれ、海の者に恐れられた。
Encounter
盆のころの月あかりの晩、沖へ出た漁師や船乗りの行く手に、もう一艘の帆影が浮かぶ。灯りや呼び声に誘われてそちらへ舵を切ると、たちまち逆風に呑まれ、岩や瀬に乗り上げて船を失うという。
Lore
海で死んだ者の霊が盆の夜に船の姿をとって現れるとされ、亡者船・亡霊船などとも呼ばれた。遠賀から鐘崎にかけての漁村に伝わり、精霊流しの心象や水死者供養の信仰と結びついた海の怪と解される。盆や大晦日には船を出さぬものともいう。
Traits
生者の船を正しい針路から誘い出す幻の船。近づく者に悪い風を送って舵を利かなくし、暗礁や高波へと導いて沈める。盆の月夜という限られた時にだけ、水底の死者が集うように海面へ現れるという。