傷跡に宿り、ものを食う顔

人面瘡

膝の傷がふと目を開き、笑う。腹が減ったとでも言うように、口を尖らせて食べ物をねだってくる。断れば、傷そのものが焼けるように痛み出す。

人面瘡の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

人面瘡は、傷やできものが膨らみ、目鼻立ちを備えた人の顔になってしまう奇病。話しかけると答え、食べ物を欲しがるとも伝えられ、中国の古書にも記録が見える。日本でも江戸期の怪談集に繰り返し記録された、体に他人の顔が宿るという不気味な怪異である。

出現

膝や腕にできた傷を治しきらず、そのまま放置した者の元にいつの間にか現れる。旅先で怪我を負った百姓、父子喧嘩の末に転んで膝を痛めた男、遠国の商人など、日々の暮らしのふとした怪我がきっかけになったと伝えられる。

伝承

浅井了意『伽婢子』は山城国の百姓の足にできた例を記し、旅の行者が与えた薬のうち貝母だけを瘡が拒んだため、これを粉にして治したという。中国の『酉陽雑俎』にも似た記録があり、文政期には上総国や仙台でも同様の症例が書き留められた。

特徴

口を持ち、食べ物を与えれば咀嚼して味わい、拒めば宿主に耐え難い痛みを与えて食を強いる。話しかければ言葉を返すとも言われ、単なる腫れ物ではなく意思を持つ別の生き物のように振る舞う。貝母の匂いだけを激しく嫌い、口を固く閉ざして抗う。

人面瘡のカバー画像