抱けば命を奪う、赤子の泣き声の老爺

児啼爺

闇の中で聞こえるのは、たしかに赤子の泣き声だった。抱き上げた腕に伝わるのは、生まれたばかりの重みではなく、二度と下ろせぬほどの、老いた執念の重さである。

児啼爺の立ち絵

危険度・希少度

B
戦闘力

条件がそろえば、人の命にも関わる。

B
敵対性

縄張りや禁忌に触れた者を積極的に襲う。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

児啼爺は、老爺の姿でありながら赤子のような泣き声をあげる妖怪。徳島県の山中に伝わり、哀れに思って抱き上げた者は、しだいに重くなる体を振り払うこともできず、そのまま命を落とすとされる。

出現

山深い集落から一歩踏み込んだ夜の峠や谷筋で、どこからか赤子の泣き声が聞こえてくることから始まる。声を頼りに探しても赤子の姿はなく、代わりに小さな老爺がうずくまって泣いている。放っておけず抱き上げてしまった者だけが、この妖怪と向き合うことになる。

伝承

民俗学者・柳田國男監修の資料『妖怪名彙』(1938年)に、徳島県の山中の妖怪「コナキジジ」として記録される。同資料は類話「ゴギャ啼き」も併せて紹介し、一本足でゴギャゴギャと啼き山中をうろつく怪物で、その声が地震を招くと伝える。両者は同系の伝承として扱われている。

特徴

泣き声で人の同情心を誘い、抱き上げさせることで初めて力を振るう。腕の中で徐々に体重を増していき、振り解こうにも万力のようにしがみついて離れない。抗う術を持たぬまま体力を奪われ、最後には命まで奪われるという。

児啼爺のカバー画像