死に際に、逢いに来る面影

オモカゲ

面影 / オモカゲ / 俤

下駄の音が、遠い戦地から帰ってきた。座敷に座るその人は、生前のまま笑っている。あとで知る。その時刻、彼はもう、この世にいなかった。

オモカゲの立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

秋田県鹿角地方で語られる怪異。死の間際にある人の生霊が、逢いたい知人のもとを訪ねる現象と、その姿をオモカゲと呼ぶ。死者ではなく、まだ息のある人から抜け出した生霊とされ、生前と変わらぬ姿で現れる。青森のあま人、遠野のオマクと同型の心意にあたる。

出現

縁者や知己が遠く離れた地で危篤にあるとき、その本人の姿となって不意に戸口や座敷に現れる。生前のままの装いで、足があり、下駄の音を立てて訪ねてくる。会いに来たと思った直後、実はその時刻にすでに息を引き取っていた、という形で語られることが多い。

伝承

柳田國男監修の民俗語彙集、綜合日本民俗語彙(平凡社、1955年)に鹿角地方の死際の生霊を指す語として収録される。青森県西津軽郡のあま人、秋田県仙北郡の飛びだまし、遠野物語拾遺のオマクなど、死に際の魂が縁者を訪れる各地の伝承と連なる。

特徴

オモカゲは死の間際にある人から遊離した生霊であり、本人の意思や未練が凝って姿をとる。生前と同じ姿かたちを保ち、足音や下駄の音を伴って現れる点で、実体ある訪問のように振る舞う。害をなす力は持たず、ただ逢いたい者のもとへ、最期の面影を届けにやってくる。

オモカゲのカバー画像