「水飲め、茶飲め」と誘う夜道のおかっぱ小僧
かぶきり小僧
かぶきりこぞう / 禿切小僧
おかっぱの童が、暮れなずむ山道でにこりと笑う。「水飲め、茶飲め」――その細い腕をふと掴めば、指に触れるのはやわらかな毛。振り向いたときには、狢が藪の奥へ消えていく。
概要
かぶきり小僧は、千葉県・茨城県の下総地方に伝わる妖怪。前髪を切りそろえたおかっぱ頭の、変わった着物を着た小さな子供の姿で現れる。その正体は狢(むじな)が化けたものとされ、人を化かすいたずら者として語られる。「かぶきり」は禿切(かぶろきり)、すなわちおかっぱ頭を意味する名である。
出現
人けの少ない寂しい山道や、日の暮れた夜道に、ぽつんと立つおかっぱ頭の子供として現れる。すれ違う通行人に「水飲め、茶飲め」などと声をかけてくる。ときには着物を頭からかぶって顔を隠し、遊ぶ子供たちの輪にまぎれ込んでいることもあり、その正体はなかなか露見しない。
伝承
上総の田舎で、子供たちの遊びの輪に着物姿の子供が紛れ込み、やがて狢だったと知れて逃げ去ったという話が、古書に実話として伝えられている。この古書の書名や成立年代は特定されておらず、下総地方に古くから伝わる話として今日まで語り継がれてきた。
特徴
おかっぱ頭の童子に化けて夜道にあらわれ、通りかかる者に「水飲め、茶飲め」と親しげに声をかける。害を与えるより人を化かし戸惑わせるのを好み、子供の遊びにもそっと加わる。だが本性は狢で、着物を剥がされると毛むくじゃらの腕がのぞき、正体が知れると獣に戻って走り去る。