口にこんにゃくを銜え橋に佇む女の幽霊

こんにゃく幽霊

こんにゃく橋の幽霊

一つの蒟蒻が、夫婦の仲を裂き、一人の女を橋の下へ沈めた。日が暮れ、石橋に月がかかる頃、髪を垂らした影がぬっと立つ――口の端に、あの日の蒟蒻をまだ銜えたまま。念仏を、九十九。あと一つで、夜が明ける。

こんにゃく幽霊の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

こんにゃく幽霊は、奈良県天理市の稲葉と嘉幡の間に架かる石橋「こんにゃく橋」に現れると伝わる女の幽霊。髪をふりみだし、口にこんにゃくを銜えた姿で夜の橋に立つ。一つのこんにゃくを巡って夫婦喧嘩をした末に死んだ女の執念が、幽霊となって橋に迷い出るのだと村人に噂された。

出現

日暮れて人けの絶えた「こんにゃく橋」の上に、忽然とその姿を現す。稲葉の麹売り孫兵衛が夜この橋を通りかかったとき、口にこんにゃくを銜えた女が目の前に立ち、恨めしそうに睨みつけた。孫兵衛が一心に念仏を唱え、九十九遍を数えたところでようやく消え失せたという。

伝承

この幽霊譚は、こんにゃく橋という橋名の由来を説く口承の縁起譚として地域に伝わる。孫兵衛という麹売りの遭遇談を核とし、こんにゃくを巡る夫婦喧嘩の末に死んだ女の執念という言い伝えが添えられる。高田十郎等編『大和の伝説 増補版』など、大和地方の伝説を集めた郷土資料に記録されている。

特徴

夜のこんにゃく橋にのみ現れ、通りかかった者の前に忽然と立ちはだかる。髪を乱し、口にこんにゃくを銜えた姿で恨めしげに睨むが、直接手をかけて害したという話は伝わらない。ひたすら念仏を唱えれば退けられ、孫兵衛の場合は九十九遍でようやく姿を消したと語られる。

こんにゃく幽霊のカバー画像