夜道で石を投げる正体不明の怪
しばかき
柴かき / シバカキ / しばがき
誰もいない夜の道で、足元にぱらりと小石が落ちる。もう一つ、また一つ。振り返っても、そこには短い草が、がりがりと鳴るばかり。投げているのが何なのか――南関の人々は、とうとう誰も見なかった。
概要
しばかきは、熊本県玉名郡南関町に伝わる妖怪。夜道を歩いていると、路傍から突然石を投げつけてくるという。姿を見た者はなく、正体は何とも伝わっていない。柳田國男は名の「しば」を柴(芝)のことと解し、草を引っかくような音を立てたのではないかと記している。
出現
夜、南関の道を歩いていると、暗がりからいきなり小石が飛んでくる。あたりを見回しても人影はなく、ただ短い草を引っかくような、がりがりという音だけが残る。誰の仕業とも知れず、投げつけられた者はただ足を速めて、その場を離れるほかなかった。
伝承
しばかきは柳田國男『妖怪談義』を初出とし、村上健司編『妖怪事典』にも記録される、熊本県南関町の投石怪異。正体は不明で、人の悪戯が妖怪視されたとする説もある。石を投げる天狗礫、砂をまく砂かけ婆など、路傍で物を投げつける同系統の怪異は各地に伝わる。
特徴
姿を見せぬまま、夜道を行く人へ不意に石を投げつける。柴の生えた場所で、草を引っかくような音を立てるのが名の由来ともいう。当たっても軽い痛手ですむが、投げ手の正体はついぞ知れない。天狗礫や砂かけ婆と同じく、姿なき何者かの投擲として語り継がれてきた。
夜、外を歩いているときに路傍から石を投げてくる
柳田國男『妖怪談義』