雨の夜、足にまとわりつく獣

すねこすり

脛擦り / 脛こすり / 股くぐり / すねっころがし

雨の夜、約束に遅れまいと走る足に、ふさりと何かがこすれる。犬か――見下ろせば、何もいない。走れば、また絡む。転びそうになりながら、男は思う。「何か出る」と。そう思ったとたん、すねこすりは、いよいよ足元で嬉しそうにじゃれつく。

すねこすりの立ち絵

危険度・希少度

C
戦闘力

驚かせ、転ばせる程度。命までは取らない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

すねこすりは、岡山県に伝わる妖怪。雨の降る夜など、狭い道を急いで歩く人の足元にまとわりつき、脛をこすったり足の間をすり抜けたりして、歩みを妨げる。犬のような小さな姿とされる。害は転びそうになる程度で軽いが、暗い夜道では正体が知れず、人を怖がらせた。

出現

急な用事で雨の夜道を走っていると、ふいに足元へ犬のようなものがまとわりつき、脛にこすれて足がもつれる。「うるさい犬め」と見下ろしても、そこには何もいない。気のせいかと走りだせば、また何かが足に絡む。恐ろしさに、人は我を忘れて夜道を逃げるのだった。

伝承

すねこすりは、岡山県里庄町出身の佐藤清明が昭和10年(1935年)の『現行全国妖怪辞典』に小田郡の妖怪として記したのが初出で、柳田國男『妖怪談義』の「妖怪名彙」にも引かれる。犬のような姿と伝えられ、井原市などが伝承地として知られる。夜道で足にまつわる妖怪は各地にあり、「股くぐり」などの類話も伝わる。

特徴

犬のような小さな姿で、雨の夜、狭い道を急ぐ人の脛にこすりつき、足の間を縫うようにまとわりついて歩行を妨げる。転ばせこそすれ、命を奪うような害はない。近年は猫のような愛らしい姿でも語られ、映画などではマスコット的な存在として親しまれている。

すねこすりのカバー画像
犬のような姿形をしており、雨の降る夜に現れる

現行全国妖怪辞典