山道で唄をなぞる、顔のない者

ずんべら坊

ずんべらぼう / ヅンベラボウ

峠道で聞こえる唄は、たしかに自分の声だった。振り向いた先の卵のような顔に、名を問う声だけが響く。

ずんべら坊の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

目鼻のない卵のような顔をした妖怪。人の歌を真似たり、他人に化けて驚かせたりする。

出現

津軽・弘前の在で、日暮れの山越えの近道で出会う。峠の中腹あたりから、旅人自身が口ずさむ唄と同じ節をなぞって歌う声が聞こえてくる。声の主に「誰だ」と問いかけると、ヌッと目の前に現れるのがずんべら坊である。逃げ込んだ先の知人の顔にも、同じ姿で再び現れることがある。

伝承

喉自慢の男が山道で正体を問うたところ、目も鼻も口もない者が現れたという筋で語られる怪談である。巌谷小波編『大語園』にこの話形が収められているとされ、水木しげる『妖怪ビジュアル大図鑑』にも人間的な姿の妖怪として収録されている。目鼻のない顔を持つ点で、各地に伝わる「のっぺらぼう」系の怪異と同種とみなされる。

特徴

声だけを先に届かせ、姿を見せるのは名を問われた瞬間だけという振る舞いをする。顔は卵のようになめらかで、目も鼻も口もない。人を殺めたり傷つけたりする力は伝えられておらず、もっぱら不意打ちの驚愕だけを武器にする。一度目をやり過ごしても、逃げ込んだ先で再び同じ顔に出くわすことがある。

ずんべら坊のカバー画像