夜道について来て言葉を試す小坊主
ちんちろり
誰もいない峠道、後ろから名を呼ぶ声がする。言い返せば、同じ言葉がそのまま返ってくる。門にたどり着くころには、屋根の上で小坊主が笑っている。
概要
ちんちろりは、山口県岩国市の道祖峠に伝わる小坊主姿の妖怪。夜道を行く者の背後から名を呼び「ちんちろり」と繰り返し、言い返されても同じ言葉を返しながら家の門までついて来る。岩国の方言「そういう者こそちんちろり」の由来ともされ、剛気な相手を試し、認めて笑って消える点に特色がある。
出現
防州岩国、西宇治から岩国へ帰る夜道、道祖峠を越えるころに現れる。日もすっかり暮れて真っ暗になったころ、ふと気づくと後ろに誰かいて「〇〇殿はちんちろり」と名を呼びかけてくる。言い返せば同じ言葉を繰り返しながら、家の門まで延々とついて来る。
伝承
山口県岩国市に伝わる怪異記録『岩邑怪談録』に載る話。防州岩国の加藤某という男が道祖峠を越えて帰宅する道中、何者かに「ちんちろり」と呼びかけられ、言い返しながら家路をたどったという体験談として記される。
特徴
夜道でだけ人の背後に現れ、名を呼んでは同じ台詞をおうむ返しにする。直接手を出すことはなく、相手が怯まず言い返す限り、これを繰り返しながら家の門までついて来る。門の屋根に立って正体を見せることもあるが、剛気な者だと知ると「これでも強い者じゃ」と笑って消える。
加藤殿はちんちろり
岩邑怪談録