月に水を汲む沖縄の心優しき妖怪
アカナー
赤なー / アカナ
青い桃は一つも売れず、帰り道の月だけがまるかった。お月様、助けて。祈りは籠となって天久の山に降り、以来この友は月で水を汲みつづける。夜空を見上げれば、桶を担いだ影がひとつ。
概要
アカナーは沖縄に伝わる、猿に似た心優しい妖怪。名は「赤い顔」に由来するといわれる。狡猾な猿に殺されそうになったところを月に救い上げられ、以来、月で水を汲み塩を作って暮らすという。沖縄では月の模様を、水桶を担いだこのアカナーの姿と見る。
出現
本来は沖縄本島北部・やんばるの大宜味村あたりの屋敷にすみ、猿と同じ庭で暮らしていた。桃の売り競べで猿に敗れ、殺されそうになった夜、道すがら十五夜の月へ祈ると、天久の山に籠が降りて天上へ引き上げられた。以来その姿は、地上ではなく夜空の月の面にだけ見られる。
伝承
沖縄本島北部のやんばる地域、とくに大宜味村を中心に採録された月の由来譚に登場する。月に水桶を担ぐ姿が映るとする伝承として語り継がれ、水木しげる『妖怪大全』や日本の民話の語りおろし、「アカナーと鬼」の類話などで紹介される。沖縄固有の地域伝承である。
特徴
猿に似た温和な妖怪で、人を害する力や敵意は伝えられていない。正直で心優しい反面、狡猾な猿に欺かれるほど純朴でもある。月に救われてからは天の神に仕え、水を汲み、塩を作って恩に報いるという。その働く姿が月の模様となり、地上からは水桶を担ぐ影として仰ぎ見られる。