魚の片目だけ喰らう漁の助っ人
イッシャ
大漁の礼は、魚の片目一つ。それがこの山の助っ人の律儀な取り分だった。
概要
徳之島の母間で語られる妖怪。雨の夜に犬田布岳から降り、短い蓑と破れ傘をまとった子供の姿で片脚だけで飛び跳ねる。おだてれば漁を手伝い大漁をもたらすが、獲れた魚の片目だけを必ず食べてしまう、憎めない山の主である。
出現
出会うと「お前は何奴だ」と尋ねてくる。トウモロコシの実を尻につけて尻尾のように振り真似をすると仲間と思い込み、おだてて機嫌をとれば漁を手伝わせられる。だが化かす面もあり、何日も山中を迷わせたり、海辺に導いて海水を飲ませたりすることもあるという。
伝承
民俗学者・茂野幽考が「南西諸島の伝説」(『旅と伝説』通巻七号、一九二八年)に徳之島の伝承として記録した。後に多田克己『幻想世界の住人たち』や村上健司『妖怪事典』にも採録され、奄美群島の妖怪として知られている。
特徴
短い蓑と破れ傘をまとった子供の姿で、トウモロコシの実に似た尻尾を持ち、片脚だけで跳ねて進む。獲れた魚の片目のみを食う癖は、奄美大島のケンムンや沖縄のキジムナーと共通し、名や土地が違うだけで同一のものとする見方もある。