加唐島の断崖に立つ女
ダキ
ダキ
「魚をくれ」と、断崖の女はやさしく笑う。焚火に応えて船へ手を伸ばした者は、もう岸へは戻らない。だから加唐島では、碇は下ろせど艫綱は結ばぬ。ほどけぬ綱は、そのまま命の綱になる。
概要
ダキは、佐賀県東唐津の鎮西町加唐島に現れるという女の姿の妖怪。人の命を狙う恐ろしいものとされ、磯女や濡れ女の一種と考えられている。「ダキ」は宮崎・大分両県などで断崖を指す方言で、崖にすむ妖怪という意からこの名がついたという。加唐島に船をつける際は艫綱をつけてはならないと戒められた。
出現
加唐島の断崖下の海岸にあらわれるという。漁師が上陸して火を焚いていると、どこからともなく見知らぬ女が近づき、親しげに「魚をくれ」と声をかけてくる。応じて船へ引き入れられれば命を狙われ、逃げようとしても艫綱をつないでいれば綱を握られて逃げられなくなるとされる。
伝承
ダキは加唐島の伝承に伝わる妖怪で、この島に船をつける際は碇を下ろすだけで艫綱はつけない、という戒めとともに語られる。東唐津の漁師が女を機転で退けた話が伝わる。磯女や濡れ女の一種とみなされ、名は宮崎・大分などで断崖を指す方言「ダキ」に由来すると考えられている。
特徴
断崖にすみ、人の命を狙う女の妖怪。海岸で火を焚く漁師のもとへ現れ、優しげに魚をねだって近づく。艫綱をつないだ船を襲えば綱を握って沖へ逃がさず、獲物を取り込む。かつて漁師の親子は、子に「船から魚を持ってこい」と命じて乗り込み、艫綱も碇綱も切って逃げ去り、ダキは「命を取り損ねた」と悔しがったという。