礼を欠いた城代に死を予告する城の妖姫
亀姫
城主が代わっても、城の本当の主は代わらない。姫路の長壁姫を知らぬ者があろうか、猪苗代の亀姫を知らぬ者があろうか——禿頭の童はそう問うて消えた。答えを誤った城代に、二十日後の死が静かに訪れた。
概要
亀姫は福島県猪苗代城に伝わる、姫路城の長壁姫の妹とされる妖怪。城に仕える者が城の主への礼を怠ると、禿頭の童や大入道の姿で現れて死を予告するという。
出現
亀姫に見込まれるのは、城主に代わって城を預かる立場の者である。ある日禿頭の童が現れて礼を欠いていないかと問い、姿を消す。程なく正月の広間に棺桶や葬式道具が置かれ、二十日にわたって死を予感させる物音が鳴り続けるという。
伝承
亀姫の伝承は、1742年頃に会津の浪人・三坂春編(松風庵寒流)がまとめた怪談集『老媼茶話』巻三「猪苗代の城化物」に記される。寛永17年(1640年)、猪苗代城代・堀部主膳が姫路の長壁姫と並ぶ猪苗代の亀姫への礼を怠っていたところ、禿頭の童の姿でこれを咎められ、正月十八日に倒れて二日後に死去したという。
特徴
姫路城の長壁姫と並び称される城主格の妖怪で、猪苗代城の真の主として礼を尽くされることを求める。礼を怠った者には禿頭の童や身の丈七尺(約2メートル)の大入道となって兆しを示し、やがて対象を死に至らしめる。正体を見極めようと斬りつけると、古い狢の姿を現すこともあるという。