囃子を鳴らし、火吹き竹を壊し、供え物には礼をする。
二階の怪
壊すのは道具だけ、求めるのは供え物だけ。それさえ守れば、二階の主は存外、話の分かる相手だった。
概要
江戸・西久保(現在の東京都港区)の畳屋に伝わったとされる怪異。姿を見せないまま家の中で物音や気配を立て、道具を壊すこともあるが、頼み事にはきちんと応じ、供え物には礼を返す律儀さも語られる。
出現
ある夜、畳屋の主人が寝ていると枕元で囃子の音がする。原因は分からないまま、翌朝には火吹き竹が壊れていた。新しい火吹き竹を用意しても、その夜のうちにまた壊されるということが繰り返されたという。
伝承
主人が「囃子はよいが、道具を壊すのはやめてほしい」と声に出して頼むと、以後は物が壊されなくなったと伝わる。年の暮れに鏡餅を供えると二階へ運ぼうとするような動きを見せ、果物や白粉を供えると、お返しのように何かをしてくれたという。
特徴
実害と呼べるほどの被害はなく、頼み事や供え物にはそれなりに応じる律儀さがある。物音を立てたり道具を壊したりはするが、人に直接危害を加えたという話は伝わらない。姿を見せないまま、家の中の気配だけで存在を示す。