生まれてすぐ予言し、三日で死ぬ牛
件
納屋の隅で生まれた仔牛が、人の声で「三日のうちに、村は火に見舞われる」とつぶやく。それだけ告げて、静かに息を引き取った。
概要
人面牛身の姿で牛の腹から生まれるとされる予言獣。生まれてすぐに豊凶や疫病、戦の行方を告げ、二、三日のうちに息絶える。
出現
西日本の農家で、牛の腹からふいに生まれ落ちる。誕生を見た者が驚く間もなく人語を発し、今年の作柄や流行り病を告げるが、二、三日と経たぬうちに静かに死んでいくという。
伝承
最古級の記録は文政2年(1819年)の『密局日乗』に見える人面牛身の記述で、天保7年(1836年)には丹後国倉橋山(現・京都府宮津市)に出現したと伝える瓦版が広まった。西日本を中心に、必ず当たる予言を残してほどなく死ぬ獣として語られてきた。
特徴
生まれて二、三日のうちに豊凶や疫病、戦争の行方を予言して息絶える。その姿絵を戸口に貼れば疫病除けや商売繁盛の御利益があるといい、死後は剥製にされ見世物とされることもあった。
至って心正直なる獣なり。ゆえにすべて証文の終りに件の如しと書くこともこの由縁なり
天保七年の瓦版(丹後国倉橋山の件)