便所の不安を鎮める厠の神

加牟波理入道

戸を開けたその先、暗がりに息を潜める気配がある。名を唱え終えるまで、決して振り返ってはいけない。

加牟波理入道の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

D
稀少性

夜道や家々で、ごくありふれて語られる。

概要

厠の神。大晦日に名を唱えると便所で妖怪を見ない。子供を便所の不安から守る。

出現

加牟波理入道が現れるのは、家々の厠。二枚の板を渡しただけの底が深い汲み取り便所で、とりわけ大晦日の夜に姿を見せるとされる。暗い穴の底から手が伸びてくるような恐怖を覚える者も多く、灯りの乏しい厠に一人で入る子供や、夜更けに用を足す者ほどその気配を感じやすいという。

伝承

厠神は「紫姑神」とも呼ばれ、唐の李景という人物の愛人が正月十五日に本妻に厠で殺され、後に祀られたという中国の故事が山岡元隣『古今百物語評判』(1686年)に記される。日本では中国の便所神・郭登(かくとう)の音がホトトギス(郭公)に通じて結びつき、鳥山石燕『今昔画図続百鬼』で加牟波理入道として描かれたとされる。

特徴

加牟波理入道は姿を見られることを何より嫌う。普段は厠の暗がりに息を潜め、覗き見た者にだけ姿を現すという。大晦日の夜に名を唱えて機嫌を伺えば、一年間は気配を絶ち、便所に近づく者を脅かさない。秋田や出雲では夫婦一対の人形を供えてなだめる風習もあり、荒ぶるというより、鎮めれば静かに見守る神である。

加牟波理入道のカバー画像