藻をまとい美女に化ける古狐
化けの皮衣
池の畔にうずくまる影が、青々とした藻を頭にいただき、北斗に祈りを捧げる。次に振り返ったとき、そこにいるのは女の顔だ。
概要
狐が人に化ける際に使う道具や藻。一休和尚が青苔を頭に乗せて化けようとする狐を目撃した話がある。
出現
化けの皮衣に出くわすのは、藻の生い茂る池や川のほとり。夕暮れ時、水際にうずくまる小さな影が頭に青々とした藻や苔を載せ、じっと北斗七星の方角を拝んでいることがある。長く動かぬその姿はやがて人影へと変わり、油断して近づいた者だけがその一部始終を目にするという。
伝承
この化け方は『本朝故事因縁集』(1689年)の「化け衣」に、大坂近郊の池畔で一休和尚が青苔を頭に載せる狐を見つけた逸話として記される。背景には、三千年を経た狐が髑髏を頭に載せて北斗を拝み、髑髏が落ちなければ人に化けられるとする中国『酉陽雑俎』の説話があり、日本では髑髏の代わりに藻や苔を用いる話として伝わった。
特徴
化けの皮衣とは、狐が化ける際に身へまとう藻や苔そのものを指す。これを頭から被って北斗七星を拝むと人の姿に転じるが、手足やうなじにはなお獣の気配がわずかに残る。この皮衣を剥がされれば元の狐に戻ってしまうため、正体を見破られぬよう人前には長居せず、闇に紛れて過ごすという。