子供に化けて手招きする鼠の霊
化け鼠
穴の奥から差し出される小さな手は、ただ「こちらへ来い」と繰り返すばかり。経も祈りも通じぬその招きに応じたのは、抜き身の刀だけだった。
概要
古い家の柱の穴から子供の姿で現れ、人を招く。正体は穴の中にあった鼠の死骸が幽霊となったもの。
出現
永禄年間(1558~1570年)ごろ、都一条のほとりに移り住んだ者の家で遭遇したと伝わる。居間の柱に空いた深い穴から、夜になると見知らぬ子供の顔がのぞき、手招きをしてくる。経文で穴を塞いでも祈祷を頼んでも効き目はなく、同じように子供が現れ続けたという。
伝承
招く子供の正体を見定めようと、剛勇で知られる知人が刀を手に待ち構えたところ、現れた子供にすぐさま斬りかかった。子供の姿は一瞬で消え、穴の奥を検めると古い鼠の死骸が残されていたと伝わる。鼠の死骸が幽霊となり、子供の姿を借りて現れていたものとされている。
特徴
普段は柱の奥に潜み、人が寝静まった頃合いを見計らって顔をのぞかせる。招く仕草を繰り返すだけで自らは穴から出てこず、経文や祈祷では追い払えないしぶとさを持つ。斬りつけられて初めて正体を現し、二度と現れなくなることから、脅すことに終始する類の霊とみられる。