三度通れば必ず出る、徳尾の森の大入道

大坊主

森の奥で目を光らせた怪物をやり過ごし、安堵して腰を下ろした茶屋こそが、実は最後の罠だった。膨れ上がるその姿に気づいた時には、もう遅い。

大坊主の立ち絵

危険度・希少度

C
戦闘力

驚かせ、転ばせる程度。命までは取らない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

鳥取県因幡地方の徳尾に伝わる、雲を衝くばかりの巨躯を持つ化け坊主。茶屋の亭主に化けて荒武者を油断させ、正体を現して気絶させるなど、人を化かすことに長けた大入道系の妖怪である。

出現

昼でも木々が生い茂って薄暗いその森は、夜半から丑三つ時にかけて三度通ると必ず怪異に遭うと恐れられた。実際にその夜道を辿った者の前には、怪しい風とともに天を突くほどの大坊主が現れ、爛々と光る目で睨みつけたという。

伝承

噂を確かめに来た荒武者・羽田半弥太は、森へ向かう前に立ち寄った茶屋の亭主に来意を告げてから出向いた。森で睨まれても動じずにいると怪物は姿を消したが、帰路に寄った同じ茶屋で、亭主こそが正体だったと知れる。亭主は森の怪物よりなお巨大な大坊主に姿を変え、半弥太は気を失った。目覚めればそこはただの野原で、茶屋も亭主も跡形なく消えていたという。この話は鳥取県の口承『因伯昔話』の一話とされ、巖谷小波編纂『大語園』第二巻(1978年版、名著普及会)に収められている。

特徴

闇に潜み、通行人が同じ道を三度たどるのを待って姿を現す執念深さを持つ。人間、特に茶屋の亭主など身近な者に化けて油断を誘い、正体を明かす瞬間には一回り大きく膨れ上がって相手を竦ませる。直接手を下すことはないが、その威容と豹変ぶりだけで対峙した者を気絶させるほどの威圧を放つ。

大坊主のカバー画像
「大きさは、このくらいでしたか」「いや、もっと大きかった」

因伯昔話