水底に潜む、老いたスッポンの主
妖怪すっぽん
すっぽんの化け物 / スッポンの主
噛みついたら、雷が鳴るまで放さない。水底の主は、気の長さで人に勝る。
概要
長い年月を生きたスッポンが霊力を得て化けたとされる水の妖怪。池や沼の主として魚を従え、ときに海上へ巨大な影を現し、入道のような姿で人を驚かす。一度噛みつけば雷が鳴るまで離さぬ執念深さを持つ。
出現
凪いだ水面が不意に盛り上がり、黒々とした甲羅の主が音もなく浮かび上がる。すっぽん料理を食べすぎた者の枕辺にも、恨みがましい影となって夜ごと現れ、寝床から引きずり込もうとうかがう。
伝承
『和漢三才図会』は、海に出る海坊主をすっぽんに似た人面・無毛の姿と記す。スッポンは寿命が百年を超すといわれ、古い個体ほど霊威を帯びると信じられた。江戸の怪談には、この生き物を食べすぎた者がすっぽんの霊に責め苛まれる話が各地に伝わる。
特徴
齢を重ねるほど大きく育ち、水辺の生き物を意のままに操る。長寿ゆえの粘り強さは凄まじく、いったん食らいついた顎は容易に緩まない。ふだんは深い淵にひそみ、獲物や仇を求めるときだけ、ぬうと甲羅を持ち上げる。