川辺で小豆をとぐ音の怪
小豆洗い
あずきあらい / 小豆とぎ / 小豆はかり
しょきしょき、しょきしょき。誰もいない橋の下から、今夜も豆をとぐ音がする。近づいてはいけない――そう聞かされて育った子どもほど、あの調子のよい歌が耳から離れない。「小豆とごうか、それとも……」
概要
川辺や橋の下で、小豆をとぐような「ショキショキ」という音をさせる妖怪。姿を見せることはまれで、多くは音のみで存在が知られる。北は東北から南は九州まで全国に分布し、地方によって小豆とぎ、小豆はかりなどとも呼ばれる。
出現
夜、里はずれの小川や橋のたもとで、誰もいないはずの水際からとぐ音が響く。近づいても姿はなく、音だけが遠のいたり近づいたりする。ときに「小豆とごうか、人取って喰おうか」と歌い、聞き入った者を水辺へ誘い込むという。
伝承
『絵本百物語』の一話では、越後高田の寺で小豆を数えるのが得意だった小僧の日顕が、これを妬む悪僧に井戸へ投げ込まれて殺され、以来その霊が夜ごと小豆をとぐ音をたてるようになったと語られる。音の正体を狢やイタチ、蝦蟇の仕業とする土地も多い。
特徴
直接人を襲うことはほとんどなく、ひたすら小豆をとぐ音を響かせる。歌に釣られて足を進めた者が、暗がりの川へ落ちてしまうのを楽しむとも、ただ音を鳴らすだけの無害な存在とも伝わる。姿を現すときは、川岸にうずくまる小柄な老人や坊主の形をとるという。