夜道で後ろ髪を引く、臆病神の眷属

後神

うしろがみ / 後ろ神

うなじに、つめたい指。前にいたはずの気配が、いつのまにか背中側にいる。振り向くな——といっても、振り向いてしまうのが人だ。後神は嗤う。恐ろしいものなど、どこにもいないのに。

後神の立ち絵

危険度・希少度

C
戦闘力

驚かせ、転ばせる程度。命までは取らない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

C
稀少性

広く知られるが、日常で出遭うことはまれ。

概要

夜の暗い道で人の後ろ髪をふいに引き、ぞくりとした恐怖を呼び起こす妖怪。臆病神につき従う眷属とされ、本当は何も出ていないのに、気配だけで人を恐怖のどん底へ突き落とす。

出現

夜、暗がりを一人で歩いていると、なんとなく髪を後ろへ引かれるような心細さを覚える。それが現れる前触れで、直後に首筋へひやりと冷たい手がかかる。たいていの人はそれだけで縮み上がり、思わず後ろを振り返ってしまう。

伝承

鳥山石燕は画集『今昔百鬼拾遺』にこの妖怪を描き、「うしろ神は臆病神につきたる神なり。前にあるかと思へば後ろにありて、人のうしろ髪をひく」と記した。未練を残すことを「後ろ髪を引かれる」というが、石燕の解説どおりなら、後神はその気にさせるより直に髪を引く。「後ろ髪」と「神」を掛けた洒落好きな江戸文化人の言葉遊びとも見られている。

特徴

何かが飛び出すわけではない。ただ気配と冷たい感触だけで人を震え上がらせるのが、この妖怪の本領である。臆病な者ほど取り憑かれやすく、前にいたかと思えば背後へ回り込み、後ろ髪を引いては臆病心をいっそう煽り立てる。害らしい害はないが、夜道の心細さにつけこむのが実に巧みだ。

後神のカバー画像