腹に棲みつき、声に声で応える体内の虫

応声虫

「腹が減った」──長三郎の腹から、長三郎そっくりの声がした。腹の口はぱくりと飯を呑み、主人が黙れば、代わりにわめき散らすのだった。

応声虫の立ち絵

危険度・希少度

C
戦闘力

驚かせ、転ばせる程度。命までは取らない。

C
敵対性

脅かし惑わせはするが、深追いはしない。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

人の腹に人間の口のような出来物として現れ、本人が口をきくと同じようにしゃべり、食物まで食べてしまう奇病。その正体は、頭に一本の角を生やしたトカゲそっくりの虫だという。もとは中国から伝わった観念である。

出現

前触れもなく高熱を発し、腹部に不気味な出来物ができるところから始まる。元禄十六年(1703)、京都の屏風屋七左衛門の息子・長三郎がこの奇病を患った。腹にできた口は長三郎の声に合わせてしゃべり、飯まで欲しがって食べ、食物を控えさせると高熱とともに大声でわめき散らした。

伝承

中国の『朝野僉載』などに古くから見え、体内に潜む虫が問いかけに腹から答えるとされた。李時珍『本草綱目』は雷丸というキノコや藍で駆除できると記す。日本でも江戸期にこの病を患った例が語られ、長三郎の一件は『新著聞集』に記録されている。

特徴

腹に生じた口は本人と同じ言葉を発し、口に入るものなら何でも食べてしまう。名医が嫌がって飲まぬ薬を見きわめ、それを調合して飲ませると声は嗄れ、二日ほどで肛門から長さ一尺一寸(約三十三センチ)の虫が這い出る。頭に角を持つトカゲに似たそれを打ち殺せば、病は癒えるという。

応声虫のカバー画像