掌に目を宿し、人の骨をかじり抜く墓場の化物
手の目かじり
――掌の目がぎょろりとこちらを向いた刹那、長持の蓋の隙間から、骨を欲しがる指が滑り込んでくる。
概要
京都に語られる化物で、掌の中央に目を持ち、口には不気味な出っ歯を生やす。八十がらみの老人の姿で夜の墓地に立ち、捕らえた人間の骨を一本ずつかじり抜いて皮ばかりを残すという。掌に目を持つ「手の目」の系譜に連なる一種である。
出現
七条河原の墓場が舞台となる。肝試しに一人で夜を明かそうとした若者の前へ、闇の奥からのそりと立ち上がる。追われた者が近くの寺へ逃げ込み長持へ身を潜めても、掌の目で居場所を嗅ぎ当て、蓋の隙間から手を伸ばしてくる。
伝承
延宝五年(1677年)の怪談集『諸国百物語』巻五「ばけものに骨をぬかれし人の事」に基づく。京都七条河原で肝試しをした若者が、掌に目を持ち出っ歯を剥いた老翁の化物に追われ、寺の長持に隠れたものの、骨をことごとく抜かれて皮ばかりになったと記す。原話に固有の名は無い。
特徴
掌に開いた目が異様な速さで動き、暗闇でも獲物を捉えて逃さない。犬が骨をしゃぶるように人の骨を一本ずつかじり抜き、後には抜け殻のような皮だけを残す。掌に目を持つ点は手の目と同じだが、こちらは骨を食らう獰猛さこそが本領とされる。