田の畔を提灯のように連なって燃える、正体不明の怪火

提灯火

田の畔にひとつ、またひとつ。提灯のような火が宙に連なり、松の間を踊る。近づけば消え、離れれば灯る。狐か、狸か、それとも。

提灯火の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

田の畔や川堤、墓地のあたりに、提灯ほどの火が地上一メートルほどの宙に浮かぶ怪火。化け物が提灯を灯しているものと言われたのが名の由来である。徳島県では数十もの火が電球を並べたように連なって現れたと伝わる。

出現

出没するのはおおむね雨の晩である。提灯ほどの大きさの火が、地面から一メートルばかりの高さにぽっかりと浮かび、近づこうとすると音もなく掻き消える。徳島では一度に数十個が列をなし、松並木の間を縫うように燃えつらなるさまが目撃された。

伝承

各地の怪火伝承の一つで、四国では狐狸のしわざと考えられてきた。徳島県三好郡などでは同じ現象を「狸火(たぬきび)」と呼び、狸が火を灯すものとする。大和国葛下郡松塚村(現・奈良県橿原市)では、雨の晩に川堤へ提灯ほどの火が地上三尺の高さに浮かんだと記録され、小右衛門火など類似の怪火も各地に伝わる。

特徴

それ自体が人を焼いたり襲ったりすることはなく、ただ宙に浮かんで燃え、追えば消え、待てばまた灯る。いくつも連れ立って現れ、ゆらゆらと揺れ動いて見る者の目を惑わす。正体は狐狸のしわざとも、原因の知れぬ死や熱病の前触れともいわれるが、確かなことは今も分かっていない。

提灯火のカバー画像