木の葉をまとい弁当を狙う、影のごとき山の童
木の子
昼餉にしようと包みを解けば、中は空。かたわらの繁みで、木の葉の擦れる音がひとつ。振り向いても、そこにはもう小さな影もない。
概要
山あいの森にすまうとされる、子供の姿の小さな妖怪。二、三歳から三、四歳ほどで、木の葉や青い衣をまとう。人が見るとまるで影のようで、そこにいるのかいないのか判然としないという。樵にとっては、さして珍しくもない山の住人である。
出現
樵や炭焼きが分け入る深い山中に現れる。木立の間をふと子供の影がよぎり、目を凝らせば消えている。仕事に気を取られ、傍らに置いた弁当から目を離した、その隙をうかがっているという。
伝承
山童の一種とされ、奈良県吉野地方や兵庫県の山間部・森に伝わる。飛騨地方ではヤマガロと呼ばれ、やはり山に入った樵の弁当を盗む。山童はヤマワロ・ヤマワランベなど各地で数多くの呼び名を持ち、九州地方に類話が多い。
特徴
山仕事の人の傍らを窺い、油断した隙に弁当を掠め取る。害をなすというより悪戯が身上で、盗みを働く程度にとどまる。捉えどころのない身の軽さで姿を見せては消えるが、棒を振るって追えば、それで大人しく退散するという。