戦場跡に根を張る、血を吸う樹
樹木子
林の奥で、一本だけ妙に若々しい木がある。近づいてはいけない。青々と茂るその葉は、旅人幾人の血で潤されたものか。
概要
戦死者の血を大量に吸って妖怪と化した木。読みは「じゅぼっこ」。外見は普通の樹木と見分けがつかないが、絶えず血に飢えており、近づいた者を枝で捕らえて吸い尽くす。多くの兵が倒れた古戦場跡に生えるという。
出現
生い茂るのは、かつて多くの兵が命を落とした古戦場の跡地。うっそうとした林の中で一本だけ妙にみずみずしい木があれば、それがこの妖怪かもしれない。だが見分けはつかず、旅人が枝の下に踏み込んで初めて、その正体に気づく。
伝承
戦で流された大量の血を吸った木が、人の血に飢えた妖怪と化したものと語られる。ただし各地の口碑としての報告は確認されておらず、成立は新しい。姿は普通の木と変わらないため、恐ろしさは「見分けられない」点にあるとされる。
特徴
枝を管のように操り、捕らえた獲物の血を吸い上げる。人の生命を吸ったものほど、いつまでも青々とみずみずしい姿を保つという。自ら動いて追うことはなく、獲物が枝の届く間合いに入るのをじっと待つ、待ち伏せ型の樹である。