亡き隠居に化けて、座敷で踊る古狸
死霊に化けた狸
四十九日も終わらぬのに、隠居はまた膳の前へ座り、上機嫌で踊りはじめる。この家ではまだ、誰も気づいていない。
概要
死んだ隠居そっくりの姿をとり、生前のように家へ入り込む古狸。座敷で酒や膳に手をつけ、興が乗れば踊り狂う。故人が戻ってきたかと家人を戸惑わせるが、その正体は人に化けて悪ふざけを楽しむ狸だという。播磨・龍野に伝わる。
出現
喪の明けきらぬ家に、先ごろ亡くなったはずの隠居がふらりと現れる。仏壇の前や囲炉裏端に座って飲み食いし、機嫌よく手足を動かして踊り出す。あまりに生前そのままの振る舞いに、家の者は化かされていると気づけないまま日を重ねる。
伝承
龍野(現・兵庫県たつの市)の化け狸譚の一つで、亡くなった隠居に化けた古狸が家に居ついて踊り飲み食いしたと語り継がれる。淡路や四国と並び播磨にも狸の変化話は多く、死者の姿を借りて家人を惑わす類話が各地に見られる。
特徴
人の死を見澄まし、間を置かず故人になりすます手際に長ける。声や仕草まで真似て家に上がり込み、供え物や酒を平らげては座敷で踊る。害をなすより惑わし楽しむ気質で、正体を見抜かれると退散する、化け狸らしい妖怪である。