死者の霊が通う、異界へ続く木立

死霊の森

葬ったはずの顔が、木立の間からじっとこちらを見ている。名を呼べば、そのままあの世まで連れて行かれるという。

死霊の森の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

A
稀少性

限られた土地でだけ、まれに語られる。

概要

死んだ者の霊が集まるとされる森。亡くなったはずの人影が木立の間に立つのを見たという話が語られ、現世と異界の境目、あの世への入り口と考えられた。岩手・遠野の土淵に、死者の行き着く場所をめぐる古い信仰とともに伝わる。

出現

夕暮れや薄闇のなか、森や野の際で不意に立ち尽くす人影として現れる。近づけば、それがつい先ごろ葬ったはずの縁者だと気づく。声をかけても応えず、こちらを見つめたまま木立の奥へ——生者と死者の道が交わる、そのわずかな時に立ち会う。

伝承

遠野物語の郷である土淵には、六十を過ぎた老人が送られたデンデラ野があり、遠野ではそこを「死者の霊の通う処」と呼んだ。もとは蓮台野の名が訛ったものという。亡き人の姿が野や道に現れる話も多く語られ、死者の集う場所は異界と地続きに捉えられてきた。

特徴

森そのものが妖怪というより、死者と生者の世界が触れ合う「境」として畏れられる。踏み込んだ者は死んだ縁者と行き会い、時に招かれる。害をなす主はおらず、境を越えて戻れなくなること、あの世側へ引き寄せられることが最も恐れられた。

死霊の森のカバー画像