水辺から人へ乗り移る憑き物
河童憑き
水辺で裾を乱すな――見ているのは魚だけではない。とり憑いた雄の河童は、祈禱にそなえた水すら己の力に変える。落とすなら、まず水を断て。
概要
雄の河童が女に憑き、淫乱にさせるという憑き物。憑かれると心身を消耗し、放っておけば死に至ることもあるとされる。九州、とりわけ熊本のあたりで語られ、落とすための祈禱では水を忌むという特有の作法を伴う。
出現
海や川のほとりで、みだらな身なりや仕草を見せたときに雄の河童は人へ取り憑くという。九州、とりわけ熊本のあたりで語られ、水辺に不用意に近づく者、なかでも女がその標的になりやすいとされる。
伝承
人へ乗り移るこの憑き物は、水の妖怪への畏れが濃い九州の地に根づいた伝承である。八代を河童渡来の地とし、四種の河童の姿を記した古文書まで残す熊本には、河童を身近な脅威として語る素地があり、そこに憑依の俗信が結び付いた。
特徴
取り憑かれた者は言動が乱れ、性格までも淫らになり、やがて心身を消耗して死に至ることもあるという。落とすには祈禱によるが、河童は水を力の源とするため、その儀のあいだは水を忌み、患者に水を近づけないとされる。