河童が残した謎の証文
河童文字
読もうとするな、ただ水に浸せ。滲み出る一筆は、渕の主が指を折って交わした不戦の誓い。焼けて失せてなお、その紙は人を水難から守り続ける。
概要
河童が詫びのしるしに残したと伝わる、絵とも字ともつかぬ謎の文字。二度と悪さをしないと誓う詫び証文に記され、河童渡来の地とされる八代など九州にゆかりが深い。水にまつわる不思議な性質を帯び、護符として珍重された。
出現
河童を捕らえ、あるいは悪さを諭したのちに書かせた詫び状として伝わり、寺社や旧家が家宝・寺宝として大切に保管してきた。河童渡来の地とされる八代をはじめ、水の妖怪の伝承が濃い土地に多く残る。
伝承
馬を川へ引き込もうとした河童が捕らえられ、僧や村人に諭されて、二度と悪さをしないと誓う証文を書き、淵へ帰されるという話が全国に分布する。その字は鏡文字や判読しがたいもので、書いた河童のほかは和尚しか読めなかったと伝える例もある。
特徴
白紙を水に濡らすと、絵とも字ともつかぬ模様がゆっくりと浮かび上がる。日に透かして現れるものもあるという。証文それ自体に霊力が宿るとされて水難よけの護符となり、たとえ焼失しても、その効き目は失われないと信じられた。