東海に棲み、人と契る中国渡りの人魚。

海人魚

かいにんぎょ

玉の肌、五色の毛、馬の尾のような長い黒髪。足はないが、その手はまぎれもなく人の手だ。やもめの男は網にかかったそれを池に放し、名を呼び、共に老いていった——魚と呼ぶには、あまりに人に似すぎていた。

海人魚の立ち絵

危険度・希少度

D
戦闘力

直接人を害する力は伝えられていない。

D
敵対性

人への害意はなく、時に福さえもたらす。

B
稀少性

各地に類話はあるが、遭うには条件がいる。

概要

海人魚は中国の古典に記された人魚で、東海に棲むとされる。美しい女性のような顔と手をもつが足はなく、肌は玉のように白い。体には鱗ではなく五色の細毛が生え、髪は馬の尾のように長い。雌雄があり生殖器は人とほぼ同じで、人と交わることもできると伝わる。

出現

海辺に暮らす者の網や罠にかかって捕らえられる。唐代の記録では、連れ合いを亡くした男が海人魚を捕らえて池に飼い、共に暮らしたと語られる。人に近い姿と情をもつため、単なる漁の獲物ではなく、伴侶として囲われることさえあったという。

伝承

唐代・鄭遂『洽聞記』が初出で、臨海の鰥(やもめ)が海人魚を養い交わったと伝える。北宋の類書『太平広記』巻四百六十四がこれを引き、体長五、六尺、肌は玉のごとしと細説する。元の『誠斎雑記』にも同様の記述があり、日本では本草学者・小野蘭山がこれを引いた。

特徴

鱗を持たず、五色に輝く一、二寸の細毛が全身を覆い、馬尾のごとき長髪をなびかせる。足はないが手は自在に使い、人と情を通わせるほどの知恵と姿をそなえる。人の顔に魚の体という怪異一般の人魚よりも、はるかに人へ寄った半人半魚である。

海人魚のカバー画像