飢えの止まぬ食い意地の亡者
狐者異
腹は満ちない。土に還ってなお、この口はまだ何かを探している。
概要
食い意地の張った姿。執着心の強い者が死後なる妖怪。死体までも食い散らかす。
出現
夜ごと、食物の匂う場所に現れる。市中の店先や台所、塵芥の山、さらには墓地にまで這い出て、よだれを垂らしながら手当たり次第に貪る。生前の食い意地が抜けきらぬ者の成れの果てとして、その醜い姿を人前に晒す。
伝承
『絵本百物語(桃山人夜話)』は、生前に食い意地が張り他人の食物まで貪った者が、その執着ゆえに死後この妖怪になると説く。桃花山人の作、竹原春泉の画による。名は形容詞『怖い(こわい)』の語源とする説もある。
特徴
死してなお飢えが癒えず、店を襲って食を奪い、塵芥を漁り、墓を暴いて死体さえ食い散らかす。血走った目で常に食を探し、いくら口へ運んでも満たされることがない。生前の欲そのものが形をとった、際限なき飢餓の亡者である。