飢えて葬られなかった者の畑の怨念
畑怨霊(はたおんりょう)
ハタオンリョウ
実った作物が、理由もなく枯れていく。それは飢えて死に、誰にも弔われなかった者が、まだ土の下で腹を空かせている証なのだ。
概要
飢饉で餓死し供養されなかった人々の霊。生者を墓場に引きずり込むなど、強い執着を見せる。
出現
人里離れた畑や作物の陰にひそみ、実りを盗む者や田畑を荒らす者の前に現れる。屋外に出るのを常とし、家の中には入らないとされる。理由もなく作物が枯れはじめたら、土の下に潜んでいる兆しだといい、うかつに近づいた者は足をとられる。
伝承
作物を奪われ、飢えて死んだまま弔われなかった者の恨みが凝ったものと説かれる。畑を荒らす泥棒の足に蔦のように絡みつき、血を吸い尽くすといい、土に潜んで作物を枯らすとも、塩を撒けば弱るとも伝えられる。飢饉の惨禍が生んだ土地の祟りとして、農村の恐れの中で語られてきた。
特徴
昼は畑の土中に身を潜め、人が作物へ手を伸ばすと足もとから這い出す。全身を棘のある葉に覆われ、大きな首を自らの手で支えて歩くとも、蔦さながらに獲物へ巻きついて血を吸うとも描かれる。塩を撒かれると力を失う一方、供養されぬかぎり土にとどまり、生者への執着を捨てない。