幽霊に化けて仕返す四匹の白狐
篠崎狐
しのざきぎつね
眠りを破った声の代償は、死んだはずの女房の手だった。赤飯と油揚げを供えて、ようやく村の夜は静けさを取り戻す。
概要
江戸の奇談集『梅翁随筆』に見える、武州篠崎村(現・東京都江戸川区篠崎)に住む四匹の白狐。日ごろ人をからかっては悪戯を重ねたが、機嫌を損ねた魚商人へ、死んだ女房の幽霊に化けて仕返しをした話で知られる。
出現
遭うのは篠崎村の野や畑のあたり。四匹はそこで昼寝や悪戯をして日を送り、からかい半分に人を化かす。だが眠りを妨げたり声を荒げたりして怒らせた者のもとへは、夜になって恐ろしい化け姿で現れ、執拗に追い立ててくる。
伝承
『梅翁随筆』によれば、昼寝を大声で追われた四匹は、その夜、番を頼まれた魚商人の前に女房の亡霊となって襲いかかり、商人は半狂乱で逃げ出した。通りかかった農夫が「狐の仕業」と見て水を浴びせると正気に返り、商人は昼寝の場に赤飯と油揚げを供えて詫びたと伝わる。
特徴
白い体をした悪戯好きの狐で、人に幻を見せて化かす術に長ける。ふだんの戯れは無害だが、いったん怒らせれば受けた仕打ちを倍にして返し、正気を失わせるほど惑わす。それでも、非を認めて赤飯や油揚げを供えれば、あっさりと恨みを解く律儀さもあわせ持つ。