万物に宿り、死者へと通う霊
精霊
せいれい / しょうりょう
石にも、水にも、亡き人の胸のうちにも——名を持たぬそれは、あらゆるものの奥でしずかに息づき、祀られるのを待っている。
概要
草木・動物・人・無生物など、あらゆる個物に宿るとされる霊的な存在。万物の根源をなす不思議な「気」の意でも、身体を離れた自由な霊魂の意でも用いられ、死者の霊や、山川に宿る「荒ぶる神」なども広くその内に含む。
出現
定まった姿を持たず、山や川、草木、古びた道具に至るまで、さまざまな物の気配としてそこかしこに立ち現れる。盆には迎え火に導かれて先祖の霊が家々へ帰り、人はこれを棚に迎えてもてなし、送り火とともに再び常世へ送り出す。
伝承
神道的な観念では、精霊は現世(うつしよ)から死者の常世(とこよ)へ渡った霊魂を指す。死んで間もない霊や恨みを残す霊は「荒ぶる」状態にあり、供養によって「和やか」になるとされた。漢語ではこの語が妖怪・妖精・神霊・鬼をも広く含んで用いられる。
特徴
宿る対象に応じて働きを変える両義の存在。自然に宿れば風雨や実りの力となり、人に宿れば魂となって、死後は身を離れ常世へと通う。荒ぶれば災厄をもたらし、祀られれば守り手となって福を招く。目に映る形は持たず、物言わぬ物のうちにひそかに宿りつづける。