家に取り憑き福を奪う厄神
貧乏神
びんぼうがみ
追い出したと思っても、焼き味噌の匂いは、また新しい戸口を叩く。
概要
取り憑いた家をじわじわと貧しくしていくとされる厄神。多くはやせ細ったぼろ姿の老人として現れ、居座られた家は何をやってもうまくいかなくなる。焼き味噌の匂いを好むといい、これを利用して送り出す風習が各地に伝わった。
出現
昼寝のまどろみや夢の中に、みすぼらしい身なりの老人としてふいに入り込んでくる。ひとたび座敷へ上がり込まれると、その日を境に商いも暮らし向きも傾きはじめ、幾年も居着いて離れないという。
伝承
津村淙庵の随筆『譚海』は、ある者の夢にぼろを着た老人が現れて以来何事もうまくいかなくなり、四年後に再び夢枕へ立って去ると告げた話を載せる。老人は、焼き飯と焼き味噌を折敷に載せて裏口から川へ流せば離れると教えたという。
特徴
直に人を傷つける力はないが、住み着いた家から富や運を吸い取り、貧窮へと導く。味噌、とりわけ焼き味噌の香りに目がなく、生味噌を食べられると火を焚く力さえ奪われるとも。好物で誘い出して川へ流す「貧乏神送り」は、これを追い払うための手立てである。