恩義に報い狸合戦に散った報徳狸
金長狸
きんちょうだぬき / 正一位金長大明神
位も、姫も要らぬ。——己を拾うた手の温みひとつ、狸は生涯忘れぬ。
概要
天保年間、阿波国日開野の染物屋「大和屋」に助けられ、その守護狸となって店を栄えさせた化け狸。四国狸の総大将・六右衛門との大戦「阿波狸合戦」を制するも自らも斃れ、のちに正一位金長大明神として祀られた。
出現
語りの舞台は徳島の小松島、日開野である。大和屋の守護狸となった金長は、さらに狸としての位を高めようと、津田浦に住む四国狸の総大将・六右衛門のもとへ弟子入りする。その器量を見込まれたことが、やがて狸たちの争乱を動かしていく。
伝承
六右衛門は金長を娘の婿に迎え跡取りにしようとしたが、金長は茂右衛門への義理を立てて辞退した。去れば脅威になると見た六右衛門が追手を放ち、金長をかばって兄弟子の鷹が討たれたことから、両者は勝浦川を挟んで激突したと語り継がれる。
特徴
二百年を経た古狸として神通力に長け、人に憑いては商運を招き、恩ある者へは命を賭して報いる。六百匹を率いて三日三晩戦い抜くほどの器量を持ち、六右衛門を討ち取ったのち、深手により日開野で息絶えた。今も報徳狸として金長神社に祀られる。