足の長い鼈の幽霊
すっぽんの幽霊
鼈の幽霊 / スッポンの霊
好きが高じて、毎晩すっぽんを平らげた男がいた。ある日の店先で、主人の顔がぬめりと鼈に見え、足はずるりと長く伸びていた。逃げ帰っても、こたつの中で震えが止まらない。――食い過ぎた鼈が、ぜんぶ見ていたのだ。
概要
すっぽんの幽霊は、名古屋に伝わる怪異。すっぽん料理に執着した男の前に、すっぽんの怨念が姿を変えて現れるとされ、その恐怖に触れた者は幾日も震えが止まらなかったという。動物を殺して食べ続けることへの報いを説く、素朴な戒めの怪異でもある。
出現
いつものようにすっぽんを買いに店へ入ると、そこの主人の顔がどことなくすっぽんに似ている。ふと足元を見れば、その足が幽霊のようにばかに長く伸びている。ぞっとして家に逃げ帰った男は、こたつに入っても震えが止まらず、二、三日たっても身体のわななきは収まらなかったという。
伝承
水木しげるが名古屋の怪異として紹介したことで知られる。すっぽんは一度噛みつくと離さないことから執念深いものと考えられ、食べ過ぎると幽霊になって祟ると想像された。固有名の妖怪としての古い一次資料は乏しく、すっぽんにまつわる俗信や怪談の集合として語られてきた。
特徴
すっぽんを好んで食べ続けた者の前に、すっぽんじみた顔と異様に長い足をした幽霊の姿で現れる。直接手をかけて害することはないが、出会った者を骨の髄まで震えあがらせ、その恐怖は数日も抜けない。多く食べるほど、殺された鼈の執念が身に絡むと恐れられた。
その首は主の咽喉笛に噛み付き、主は絶命した
郷土研究上方